前作「シェア・クラブ」の雰囲気をかなり引き継いでいる。
この作品で面白い観点だな、と思うのは「勝手に」「ランダムに」
他人と立場をとっかえてしまう点だ。
昔からなりない人になるような、空想を描写した小説の類は
星の数のようにある。
あるいはなりたくない立場(動物とか)になってもがき苦しむような作品も、
上記のものほどではないにしろ数多く存在する。
しかし大概、主人公のみの立場が入れ替わるだけだ。
こうシステマティックに、人物が入れ変わるような世界観を突然出されると、
なぜか他人事に思えないから不思議だ。
ただ、自分だけが誰かと入れ替わる・・・ような空想は
誰しもが経験していると思うのだけど、
そこに意思が入ってこないのはやはり恐怖だと思う。
しかしこれを読んでいて、ふと疑問に思ったことがある。
主人公自身の姿は何で変わっていなかったのだろうか?
ま、主人のことだから適当に言い訳しそうな気がしますが(笑。