『オレンジ・オレンジ』

- orange/orange -

 いよいよ明日は予選決勝・・・
夏の夕日がグランドを照らしていた。
田中(捕手) 大丈夫か?オマエの肩。
鈴木(投手) ああ、なんでもない。
田中 ・・・。おまえ、顔色悪いぞ。
鈴木 な、なんでもないんだ。明日は頑張ろうな。
田中 ああ、もちろん。
鈴木 ・・・・。
田中 おまえ、なんかあったのか
鈴木 ・・・
田中 姉ちゃんか?
鈴木 ああ
田中 そうか。でも試合までには戻ってこいよな、鈴木。

そして試合の日。鈴木は来なかった。そして、5回2死満塁。鈴木の代わりに出た高橋はついに
つかまってしまう。ついに均衡が破れるかと思ったその時だった。

田中 おい、高橋。無理か?
高橋 いいや。この回ぐらいは投げられるさ。
田中 そんな。もう球がういてるぞ。監督に言って代えてもらおう。
高橋 いいや、まだだ。投げさせてくれ。一年の小林には荷が重過ぎる。
田中 鈴木よ、助けてくれ

と田中が祈ったとき・・・
タッタタタタタタタタ・・・

田中 す、鈴木か?

「小林です、監督が、高橋と代われと。」

その後スーパールーキー小林は毎回の三振の山を築き、一躍英雄となった。9回裏、チームは田中の根性の犠打によって、辛くも甲子園行きの切符を手に入れた。

翌日、田中は鈴木の姉の見舞いに市民病院を訪れた。

鈴木 すまなかったな、田中。
田中 いいんだよ。一緒に甲子園にいけて本当に良かったよ。
    姉さんもだいぶ元気そうじゃないか。
鈴木 先生が、山は越えたって
姉  心配かけてすみませんでした、田中さん。
田中 あ、そうだ。監督からのことづけ。
鈴木 なんて?
田中 甲子園は心配するな、小林が投げるって。
鈴木 ・・・・・。

 なお、題名と本文は関係ありません。