先週は、キチンとルールを守っているのも関わらず、全体としてみれば基本目的に合っていないために迷惑になってしまうケースがあるというところで終わりました。
この身近な例が、喫煙席と禁煙席だと思います。このサイトの管理人であるboominはタバコが大嫌いです。過去、喫煙に関する話題がBBSに出た時も「100害あって1利なし」(百害あって一利なし、に算用数字を使ったケースをはじめて見ました。さすが理系だと思います)と論陣を張っていました。喫煙者の立場からすると「分煙になっていればいいのだろう」と思われるかもしれませんが、残念ながらそうとも言い切れないようです。
喫煙席と禁煙席の間にスペースや仕切りがあれば、みんなハッピーなわけです。ところが、申し訳程度に植木が置いてあったり、ないよりまし程度の空気清浄機を置いてお茶を濁していたりする例を多々見かけます。もっとずぼらなケースだと、灰皿が置いていないだけ、または通路を挟んだだけといった何も仕切りがない店も多いようです。
きちんとスペースを取っている店でも画竜点睛を欠いていることもあります。禁煙席が店の奥にある場合ですね。嫌煙家が席に行こうとすると通路で煙を吸わされてしまうわけです。店の奥のほうが敬っている客である、ということなのかもしれませんが、通路が喫煙席と分断されていない場合はとんだ迷惑になります。
俗に言う「シアトル系カフェ」チェーンはコーヒーの香りを大切にしたい、という文句を掲げて、タバコの煙が店内に充満しないように気を配っているようですが、店によって考え方は異なっているようです。
Sの場合、店内は完全禁煙です。店内は。ところが、入り口にオープンエアスペースを設けて、灰皿を置いているわけです。当然、皆さんタバコを吸うわけですから、嫌煙家が入り口に立つと、紫煙の洗礼を受けるわけです。タバコのにおいはコーヒーには付かないかもしれませんが、嫌煙家の顧客満足度は低くなってしまいます。
もう一方のTは完全に店内分煙を行っています。すなわち、喫煙席は店の奥に、透明なガラスで仕切られた上に空調によって煙を勢いよく吸い上げているわけです。喫煙席に場所をとっているわけですから、店内でくつろげる非喫煙者はSに比べると少なくならざるを得ない。しかも、設備にもお金がかかる上に、どちらかのスペースが空いていても、自分の嗜好に合わなければ座ることが出来ません。
この場合、コーヒーの味などは別にして店内禁煙に対する考え方だけで言うならば、建前を推し進めて本来の目的を損ねているSよりも、タバコのことを認めて共存関係を築こうとしているTの方がより顧客満足は高そうです。
このようにルールさえ守っていれば、基本目的を達成できるとは限らないというところが難しいわけです。ルールが間違っているのかもしれないし、有名無実化しているのかもしれない。まあ看板が正確に書かれてあっても、内実が異なっていることは往々にしてあることなんですけど。
極論すると、不完全な喫煙スペースでタバコを吸っている人は「おれはルールを守っているからいいんだ」と煙の行方については一切関知しないで分煙を守っていると大きな顔ができるのだろうか、と思ってしまうわけです。もちろん、店に責任があるわけですし、嫌なら他所に行けば済むわけですけど、それなのに「マナーを守っている」という態度を取られても、ちょっと当惑してしまうわけです。
このようなわけで、禁煙スペースを設ける店の人は、よく注意した方がいいでしょう。店に来る人間が全員快適でハッピーなら、売り上げも伸びるわけですから。