いやあ、もう前回の通信を書いてから、だいぶ経ってしまいましたね。
その間に総選挙で政権交代、麻生さんの退陣で、すっかり過去の事になってしまいました「国立メディア芸術センター」(通称:国立漫画喫茶)ですが、いずれはそんな施設が必要になってくるでしょうから、まだまだネタとして行けるのではないかな、と思い新春ながら続けさせていただきます。
さっそく昨年に触れていた私案(妄想)を発表したいと思います。ま、ここは私のコーナーなので、何を書いても自由、ということで。よく言えば「政策提言」、悪く言えば「妄想の開陳」ですかな。
現在想定されているこの施設の持つミッションとは何かというと、おそらく、この2つではないでしょうか。
1.メディア芸術の国内での振興・保存・研究
2.海外への発信および宣伝の拠点
「メディア芸術」とは、アニメやマンガに限らず、たとえば「メディア芸術祭」で挙げられているようなメディアアートも含めます。そういえば、編集長と私で以前、Project H.I.Kという「俳句をすべて書き出して発表する」というプロジェクトを応募してみたこともありますね。日本のメディアアーティストの中には、アルス・エレクトロニカなど海外のメディアアートのイベントで賞をとっている人がけっこういるんですよね。でも、それらのファンとアニメやゲームのファンでは、客層が全く違うと思うのです。
だいたい、「メディア芸術」と一言でいっても、客層が違えばマーケティングも難しいし、イベントを打つのも難しい。施設のブランドイメージを立てるのも難しくなります。となると、むしろ単純に「ここに来れば日本のアニメやマンガが一堂にわかる。サブカル関連の資料が見られる」という場所に開き直ってしまった方が、よっぽど良いのではないかなと思われるのです。その証拠に、「アニメの殿堂」という呼び方は、かなり人口に膾炙しております。これは「メディア芸術振興のための施設」よりも一般人には分かりやすいですからね。
さて、紺洲堂の試案では、この「国立サブカルチャーミュージアム」のミッションは3つです。
1.短期では日本の新しい観光名所となるような施設を作り、国内外の観光客を集める
2.中期には日本国内のコンテンツ産業の振興及び海外への積極的な輸出拠点とする
3.長期には、失われやすいサブカル系の資料を収集・保存し、研究を進める
もう、日本国には無駄なことに対してお金を出せる余裕はありません。だからこそ、もし国立サブカルチャーミュージアムを作るのであれば、最初から「お金を取れる施設」にしなければなりません。さらに、これを作ることによって日本国内の産業の発展・維持に寄与できる、と説得しなければ仕分け人も国民も納得しないでしょう。そこで、1〜3と段階を踏んでいくことで施設を黒字化させながら最終的な野望を達成使用ではないか、ということなのです。
では、短期的な目標「日本の新しい観光名所となるような施設を作り、国内外の観光客を集める」を、どうクリアするか。まず、お台場に建設するのはダメですね。動線から言っても、観光客のルートとして、ちゃんと設定出来るのかが問題となります。そりゃ、お台場にも外国からのお客さんは多いですが、こうしたものに興味がある人が動くことを考えれば、秋葉原や中野からアクセスしやすいことが必要条件です。こうした「オタクの聖地」と呼ばれる場所から近く、スムーズに観光客を呼べる場所こそがふさわしい立地となるでしょう。
できれば、旧交通博物館の建物や閉校した学校などを再利用するのが良いと思います。海外のミュージアムでは、何かの建物をミュージアムに再利用することは非常にポピュラーです。パリのルーブル美術館は宮殿、オルセー美術館は駅、オランジュリー美術館は温室、ロンドンのテートモダンは発電所でした。サブカルミュージアムの場合は、日本のコンテンツが学校を舞台にしたものが多いことを考えても校舎の再利用が良いかと思います。外国からの観光客が日本の学校の中を見ることはムズカシイと思いますし、話題になるのではないかと思います。
また、収集品もできるだけタダで提供してもらうことが必要です。一番良いのが、オタクの人に寄付を求めることでしょう。コレクターたちは、なかなか自分のコレクションを持って置く場所が足りず、また第一世代のオタクたちが亡くなっていく時期になれば、家族に最愛のコレクションを捨てられることも大いに考えられます。
そこで、例えば「サブカルミュージアムに寄付すれば、そのコレクションの相当額を寄付したとみなして、税金の控除が受けられます」となればどうでしょうか。相続税や所得税などを、かなり払わなくても良くなります。また、寄付していただいた方の名前は永久に登録しておくことも必須でしょう。これは、法人やクリエイターにも適用することで、コンテンツホルダーの方々にも貴重な資料を寄付してもらいます。作家にとっても、自分の生原稿などを永久に保存してくれて、なおかつ印税から引かれてしまう税金の控除になるというのは魅力になるのではないでしょうか。生原稿の管理も難しいでしょうし、出版社が倒産して、そのドサクサになくなることもないでしょうし。
これだけでは、秋葉原からアクセスしやすい学校のあった場所に、オタクやクリエイターから集めたものを集積し、展示・閲覧できる場を作ったに過ぎません。
以降、次回!